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執筆者の写真副住職

6月のネット法話「求める心与える心」



浄楽寺ではホームページに「お悩み相談室」を設けています。


メールでのご相談に限定していますが、

家族のこと、職場でのこと、生活のこと、お寺との関係、 墓のこと、供養のことなど相談事は多岐にわたります。 匿名でのご相談もお受けしておりますので、 その内容は、心からのお悩みが赤裸々に語られます。 それぞれにお釈迦様のみ教えでお答えしておりますが、 拝見するに我々の悩みの多くには貪瞋痴(とんじんち)が原因だと実感いたします。


その初め、貪とは貪りの心です。


「自分の思い通りにしたい」、

「求めるものを得たい」と強く望む心です。


お釈迦さまが説かれた四苦八苦のひとつ、求不得苦でもあります。


求めるけれども得られない苦しみ。


この世の中では、すべてが思い通りに行くことはありません。

それでも強く求めてしまうのが我々です。


その葛藤が悩みとなり、

最後には強い苦しみを感じることになってしまうのです。


近頃、感謝の在り方が変わってきたように思います。


そのひとつは、感謝と恩義の違いが明確ではなくなってきたことです。


恩義とは与えられたことに対する礼節です。

義と示される通り、そこには義理や義務が生じます。

恩義は社会の中で生きていくうえでとても大事なことです。


しかし、ありがた迷惑、おせっかいなどと恩をあからさまに 拒否するような心には義理も義務も重たくなるのでしょう。


さらにはこの恩義を感謝だと思う人が増えてしまっています。


感謝とは、心の底から湧き上がるありがとうの気持ちです。


本当に困っているときに自らが求めることを得られたときに感じる気持ちです。


それらは、いつも〇〇してあげたいという、 慈しみの心、仏教でいう利他の心をもつ人の好意から生まれます。


そして、布施の心です。 それは与えることで自らが徳を得るという心です。


求めたものを得ても、 次には際限なく求め続けるのが貪りの心です。


「いただいた ありがたきこと数えずに 得られぬものを探してばかり」


持っているもの、有難きことがあたりまえになると、

求める心ばかりが増幅してしまいます。


貪りの心を抑え、今持っているものを大切に、

さらには与える喜びを知ることが感謝を生む心であり

豊かな毎日を送るコツでもあります。


感謝の連鎖があらんことを祈ります。


南無阿弥陀仏



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