僧侶には戒律という守るべきルールがあるのは知っているかな。
その中のひとつに「不殺生戒」という戒律があるんだ。
「無駄な殺生は行ってはいけない」というのがこの戒律の真意だね。
人は命をいただいてその命を保つ存在。
だからもともとは肉食を否定するものではなかったんだ。
僧侶は食事は托鉢や乞食などの布施でいただくわけだけど、 いただいた食べ物はなんでも食べなければいけないという決まりがあった。
施主が肉を施せば、肉も食べなければならない。
そんなことからブッダも肉を食べることがあったという。
この不殺生戒はあくまで「自分のために殺生してはいけない」という戒律で、 肉食が身体を汚すなどという教えではないんだ。
実は、そもそもブッダも肉食を禁止してはいないといわれている。
しかし、仏教が中国を経て日本に入ってくるときには 肉食は一切いけないということになった。
当時は肉や魚を食べる坊主をナマグサ坊主などと言って、 戒律を守らない破戒僧の代表とされたこともある。
今の日本ではお坊さんも修行の場以外の日常生活の中では 肉類を口にしているけど、 世間もそれだけでナマグサ坊主とは呼ばなくなったね。
妻帯ももはや一般的だけれど、 出家のイメージが薄まったからなのだろうか。
それでも法衣で外食の時は肉は食べづらいけどね…。
合掌